痛みには様々なタイプがあります。痛みの原因と特徴について、詳しくご紹介します。
痛みの分類
医療の世界においても、痛みとは何かと定義するのは簡単ではありませんでした。国際疼痛学会(IASP) では、痛みとは、「実際の組織損傷もしくは組織損傷が起こりうる状態に付随する、あるいはそれに似た、感覚かつ情動の不快な体験 」と定義されています。痛みは、急性疼痛と慢性疼痛に分けることができますが、その他にも痛みを分類する方法はたくさんあって、さらにお互い重なる部分も少なくありません。慢性疼痛は、以下のように分類されることがあります。
侵害受容性疼痛: 身体が損傷を受けることで起こり、身体を保護する役割を果たします。関節痛や、変形性関節症、腰痛、スポーツ外傷、手術後の痛みなど、身体性の痛みがこれにあたります。
神経障害性疼痛: 体性感覚をつかさどる神経の損傷や機能障害によって生じます。身体のダメージや病気によって発生し、身体のどこにでも起こる可能性があります。身体的所見がないことも少なくありません。その痛みは、焼けるような痛みだと言われることもあれば、ずきっとくる、電撃が走る、ひりひりすると表現されることもあります。神経障害性の痛みは、身体が損傷を受けたあと数日から数週間経って起こる傾向があります。痛みが出たりおさまったり、強くなったり弱くなったりと、頻度や程度に波があるのが特徴です。痛みの元が特定できないことも多く、原因が思い当たらないこともあります。
心理社会的疼痛:心理的要因や社会的要因が痛みに大きな影響を与えることがあります。
慢性疼痛は、侵害受容性疼痛あるいは神経障害性疼痛といった器質的要因だけによるものではなく、心理社会的要因にも関連することがあり、これら様々な要因が病態を複雑にしています。
原因
痛みが現れるきっかけは様々です。原因が一つだけというケースは、むしろ少ないかもしれません。多くの場合、複数のメカニズムが絡み合っている可能性があります。たとえば、炎症は、しばしば侵害受容性疼痛に見られますし、神経障害性疼痛にも見られます。
身体性の痛みと炎症性の痛みは、組織の損傷が原因となって生じます。組織の損傷は、繰り返し外傷を負ったり、身体を酷使したり、逆に使わなかったり、間違った使い方をしたり、といったことで起こります。
一方、神経性の痛みは、神経そのものが損傷、または機能障害を起こすことによって生じます。神経の損傷や機能障害によって、中枢神経に間違ったシグナルが送られ、痛みが生じます。
侵害受容性疼痛と、神経損傷性疼痛は、急性疼痛の場合もあれば、慢性疼痛となることもあります。急性疼痛は、あなたに「危ない」という信号を送っています。ホットプレートに触れた時などがそうです。「損傷がある」と伝えていることもあります。痛みの発生は突然で、長くは続きません。損傷部位が回復すれば痛みはなくなります。慢性疼痛の場合はもっと深刻で、痛みがなかなか取れず長引きます。
その場合は、医療機関で治療を受けるようにしてください。
痛みをどのように感じるのか?
痛みは、大変複雑な神経システムによってコントロールされています。熱いフライパンに触るといったような、外部からの刺激を神経の受容器が受け取り、その刺激が脊椎神経を通り、大脳に伝わることで「痛み」と認識されます。これらの受容器は、暑さ、寒さ、光、質感、圧力、そして痛みを感じます。さらに痛みは、吐き気や、めまい、衰弱といった他の症状を引き起こすこともあります。
なぜ、加齢とともに痛みを強く感じるのか?
年齢を重ねるにつれ、身体は徐々に変化していきます。骨密度の減少、代謝量の低下などが挙げられますが、 筋肉量においては30代から10年ごとに3~5%、男性では一生の間に総筋肉量の30%が減少します。*1
また、変形性関節症(最も一般的なタイプの関節炎)も起こりやすくなります。変形性関節症を発症すると、関節は硬くなって柔軟性に乏しくなり、軟骨は磨耗し始めます。その多くは、ひざや手指の関節に起こり、この疾患によって関節の組織が破壊されると、その部分に炎症が起こります。炎症によって、関節にこわばりや変形、痛みが生じると、歩行や日々の動作に支障が出ることもあります。
年齢とともに様々な身体的変化が起きる一方で、家族と出掛けたり、友達と食事に行くなど、日常の楽しみを痛みによって邪魔されたくないものです。痛みの原因は年齢のせいだと思って、我慢していませんか?そうした時には、炎症を鎮め、痛みを和らげる医薬品を試してみましょう。
世界全身体の95%の人々が、身体の痛みに苦しんだことがあると主張しています-痛みの身体験は人によって異なります。*2
部位別の痛み 原因と対処法