最も一般的な関節炎が変形性関節症です。その原因と痛みの緩和法について、ご紹介します。
変形性関節症とは?
変形性関節症は、最も一般的な関節炎です。世界中で実に多くの人がこの疾患に悩まされています。症状は様々で、軽い痛みとこわばりが現れたり消えたりする場合もあれば、強い痛みが常にあるといった場合もあります。どの部位の関節にも起こる可能性はありますが、特に多いのはひざと指の関節です。
原因
健康な関節では、軟骨が骨の末端を覆っています。このしっかりとしたゴムのような軟骨は、関節が滑らかに動くのを助け、骨と骨の間で衝撃を吸収するクッションのような役割を果たしています。変形性関節症になると、この軟骨がダメージを受けてすり減り、その結果、関節に痛みとこわばりが現れます。 このため、変形性関節症は、“経年劣化”による関節炎だと言われています。しかし、ひざの軟骨がすり減った高齢者だけの問題ではありません。たしかに変形性関節症は65歳以上に多く見られますが、どの年齢にも起こり得ます。一般的には、45歳ぐらいから症状が現れ始めるとされています。 また、変形性関節症は、必ずしも年齢とともに進行するものではありません。もし、変形性関節症の症状がひどくなるようでしたら、骨が破壊されて骨棘(こっきょく)とよばれる突起ができているのかもしれません。また、細かな骨と軟骨が剥がれ落ち、関節周囲で動いているのかもしれません。 変形性関節症が悪化すると関節の軟骨がなくなり、骨と骨が直接すれて関節の損傷が進んで痛みが強くなり、最終的には痛みで関節を動かすのが困難になることもあります。
症状
変形性関節症の症状は様々です。関節の状態にもよりますし、破壊の程度によっても異なります。変形性関節症の一般的症状には、以下のようなものがあります。
- 関節に、圧痛、痛み、こわばりがある。
- 関節が、通常よりも大きく瘤(こぶ)のようになる。
- 関節を動かすと、ぽきぽきと鳴る。またはゴリゴリとした感じがある。
- 関節の動く範囲が狭く、思うように動かせない。
- 関節周囲の筋力が低下する。
- 骨棘(こっきょく)と呼ばれる突起があり、骨に当たってすれる。
ひざに変形性関節症があると、ひざ折れや、ひざを伸ばしづらいといった症状が現れます。変形性膝関節症の場合、両方のひざに症状が現れる傾向にありますが、もともと片方のひざの外傷が原因である場合、そのひざだけに症状が現れることがあります。
手指に変形性関節症があると、関節の端に硬い骨棘ができます。そのため指に、こわばり、痛み、圧痛、発赤がでて、パソコンのキーボードを打ったりピアノを弾いたりする動作に影響がでます。通常、炎症は親指の根元や、指先、中指の関節に起こります。
リスク要因
変形性関節症を発症しやすい要因には、以下のようなものがあります。
- 肥満:体重が重いと、ひざの関節に負担がかかり、軟骨が早くすり減る原因となります。過体重の女性は、標準体重の女性と比べ、変形性関節症を発症するリスクが4倍高くなります。男性の場合、過体重であればリスクは5倍です。ひざだけではありません。肥満状態にある人は、どのような関節でも変形性関節症を発症するリスクが高くなります。手指の関節でさえリスクが高くなります。
- 性別:女性は男性より変形性関節症を発症しやすい傾向にあります。特に、女性は50歳を超えるとリスクが高くなります。
- 年齢:年齢が高くなるにつれ、変形性関節症発症のリスクが上がります。
- 関節の外傷:事故やスポーツで関節を痛めた経験があると、たとえそれが何年も前の出来事であっても、変形性関節症を発症するリスクが高くなります。
- 職業:繰り返し関節に負担をかける動作、例えば長時間キーボードを叩いたり、髪をカットしたりする動作などで関節を酷使すると、変形性関節症を発症するリスクが高くなります。
- 遺伝:遺伝的に、変形性関節症を発症しやすい体質を受け継いでいる人がいます。
- 骨の奇形:生まれつき骨の形成異常や軟骨の欠損がある場合、変形性関節症が発症しやすくなります。
部位別の痛み 原因と対処法